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2018年9月25日

「場所が神保町だけ決まっているイベント」

場所 SOCIAL GOOD ROASTERS 千代田 
住所 千代田区神田錦町1-14-13 LAND-POOL KANDA TERRACE 2階
時間 19:00スタート 22:00 その後、懇親会へ
料金 500円 (SOCIAL GOOD ROASTERS の提供する珈琲付き

場所だけ決めて、中身を決めない。No issue No agendaなイベント。電通のプランナー小橋さんが発案して、汐留を中心にイベントは開催されていました。2018年8月に日本橋で行われた「場所が日本橋だけ決まっているイベント」に、神保町サロンの石塚が参加し、小橋さんと意気投合、ではでは神保町で開催しましょーということで、開催の運びとなりました。

場所が神保町だけ決まっているイベント 神保町サロン Expression

今回、会場を提供して下さったのは、株式会社ビーンズの坂野さん。「SOCIAL GOOD ROASTERS 千代田」で開催しました。坂野さんは、障がい者でも日々を豊かに暮らすことができる社会をつくるため、障がい者ヘルパーを事業を主に展開していましたが、さらに業務拡大中です。会場はオシャレな喫茶店なのですが、同時に千代田区で初となる精神障がいの方の就労支援施設なのです。

利用者の方は、貝殻豆や割れ豆、虫食い豆、俗に言う焼きの入らない死に豆などの欠点豆を取り除く作業をしています。ここは機械化が難しく、人がハンドピックしないとなかなかできないところなのです。あと、すごいのが焙煎機。ギーセンという細かい操作ができる焙煎機があるのです。ちょっと画面見せてもらったけど、火力、排気量、焙煎中の攪拌(かくはん)などが思うようにできる感じです。ここでは、スッキリとした上品で美味しい珈琲を飲むことができます。

ギーセンの焙煎機と坂野さん

場所だけ決まっているイベントを立ち上げるきっかけを、小橋さんに尋ねたところ、きっかけは「創造的な欠如」と「偶然は神」だそうです。

ほとんどのイベントにはタイムテーブルがあって、どんな人に、どんなことを、どのように… と内容を事前に細かく決めて、主催者側が参加者の満足度を考えて設計されますが、「場所だけ決まっているイベント」は、あえて、あらかじめ決められた目的を欠如させています。

ポツポツ、参加者が集まってくると、まず来た人同士で雑談、自己紹介が自然と始まりました。そこにあったのは、まず自分の話をしなきゃという行為の発動でした。何か話さないと始まらない。どうやって、いま対峙している人と楽しく過ごそうかと、頭を巡らせ、言葉を選ぶ時間が最初に訪れました。

この場には目的や評価を設定しているジャッジメント機能はありません。目的が無いので、否定のしようもありません。それぞれの参加者が、ただ、そこに共にいることに緊張も安心もしながら、自由に会話を楽しみ、ヒラメキが起こる予感を感じている。集まった目的が無いため、根本的なところの共通点を探す行為が自然と始まる。そんな空間でした。

神保町サロンでも哲学的な思考をした結果として、概念や情報カテゴリの再構築が起きます。無目的に情報や情動が飛び交う空間は、その偶然性を楽しむことができれば、何かが起きる創造的な場が作れると直感しました。

場所だけ決まっているイベント Expression(神保町サロン)

今回、話題に上がったのは、

・人が苦味と酸味を好きな理由
・軽井沢 丸山珈琲の仕組み
・千代田区の行政的な特徴
・神保町の歴史
・魚の美味しさの条件は、産地ではなく鮮度
・珈琲と魚の相性
・大手電機メーカーのプロモーションの方法論
・慶応三田会
・資本家の心理
・ゲーミフィケーション
・陰陽
・レヴィナス
・倫理の成立過程
・暴力の変化過程
・個と社会のバランス
・社会と仕事の関係性
・個とエロスの関係性
・男女というジェンダーの成立過程
・「良い大学→良い会社→結婚・子供→家・車→社内での出世」という男性性の限界と再構築

などなど…

それぞれが、それぞれの頭の中で、情報の整理と再構築が起きている感じがしました。

すべての詳しい内容は書ききれませんが、特に書きたいなと思ったのはジェンダーとしての男性性についてです。

日本には「強い男性」というイメージが根強く残っています。「リーダーシップがあり、冷静で判断と決断に優れ、我慢強く潔い」というイメージ、それは時に強いストレスがあり、孤独や病気や自殺を呼び込みます。

他者に対する「優越性」を持つことが奨励される男性性(ジェンダー)は、競争に負ければ社会的な価値が薄れてしまうけど、勝っても孤独がつきまとう厄介なものです。

では、家庭での男性性はどうでしょうか。男性性は、男女というジェンダー構造のなかで、女性性に子育てを任せました。男性性は家族や子どもから少し距離をとってしまいました。そうして、男性性は仕事に戻っていき、勝つ事を心底思うようになり、また構造が強まります。

現在、日本の産業構造の中核となっているのはサービス産業です。サービス産業は、労働時間ではなくアイディアと成果が全て。会社にいても給料は増えない仕組みに移行が完了しつつあります。会社に従事していれば優位性が確保できた時代は終わり、仕事のやり方は大きく変わりました。ティール組織が流行るのは、個と従属のバランス構造が変化したことにみんな気づいたからでしょう。

世界に目を向けて、グローバル化の中で勝ち続ける人もいます。僕の知り合いの世界で競争を戦っている人は、「自分でルールを作っている人」と言えます。国を超え、日本政府や日本の商習慣がない状態では、自分で調べて、自分で決めたルールを関係者に理解を求めて、秩序化させていきます。日本には「ルールの解釈を外部に求めて、リスクは取らない」という感覚が強いなと感じます。我慢強く待っていても何も変わりません。また潔く諦めるのではなく、言語化して、丁寧に時間をかけてでも説得することが強みになっているようです。こういった感覚は、今までの日本には無かった強さだと思います。強さのイメージが変わりました。強いながらもスマートという印象です。

いま、グローバル化の潮流に乗れないと、どんどん社会の主流から取り残されてゆくような感覚が襲ってくるでしょう。そうなると、ドメスティックな感覚が強くなり変化を怖がったり、自己を揺るがすような他者との関わりを拒んだり、排除すべき対象を作り出し自らを正当化したり。。。そんなことが起きるようです。

では、どうやって人生における社会との関わりを完結させていけばよいのか。

 

「男から降りる」のか

「新しい男性観」を作り上げるのか

「そもそもの男女というジェンダーを見直す」のか

 

社会という場における存在の獲得、社会という場そのものを問い直し、個と社会との重点を置きなおす作業が必要になっていると感じます。

いま企業のセクハラ・パワハラ・LGBT研修をサービス提供していますが、男性性というジェンダーについても企業に捉えなおしてもらい、個人の能力を最大限に発揮する環境の構築に繋がる研修にブラッシュアップしていきたいなと思いました。

​石塚

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