本日は佐藤寛泰さんの独立記念「被キ 道成寺」を見学。
今日の道成寺は“女“の恋心を描いている。ある”女“が鐘の中に隠れた”男“を思って大蛇になって鐘ごと焼き尽くす。そして時を経て、今度は自分が鐘の中に入りこんどは魂が朽ちていく。この女は二回死ぬ。自分の思いに正直に生きるのは見事だけど迷惑だ。見事で迷惑とは何なのか。そして蛇というのはなんのメタファーなのか。と面白いことだらけ。
能の演目は今までに3000くらい作られています。そのうち現行曲として演じられているのは250程度。能は江戸時代には、1日の興行で五番(神・修羅・鬘・狂・鬼の流れ)を行うのが本式だったそうです。その名残か、いまでも演目が神、修羅、鬘(かずら 優雅なこと)、狂、鬼といった5つのイメージ(五番)に分けられています。最初はそういう風に見ても分かりやすいかも。
修羅と鬘は、いまで言うと男・女というイメージ、生き方、つまりジェンダーにつながる感覚質に近いところをえぐっています。
神系 脇能物(初番目物) 男神物(高砂、養老など) 女神物(西王母、右近など) 老神物(放生川(ほうじょうがわ)、老松、白楽天) 異神物(東方朔、源太夫、難波、道明寺など) 荒神物(江島、和布刈(めかり)、賀茂など)
修羅系 二番目物 勇士物(八島、箙、兼平など) 公達物(経正、知章、敦盛、生田敦盛など) 老武者物(実盛、頼政) 女武者物(巴)
鬘系 三番目物 本髭物(井筒、源氏供養、 松風など) 老女物(檜垣、姨捨) 美男物(小塩、雲林院) 精天仙物(杜若、 胡蝶、初雪など) 老精物(西行桜、遊行桜、花軍) 現在鬘物(祇王、籠祇王、 熊野、大原御幸(おはらごこう)など) 現在老女物(関寺小町、鸚鵡小町、卒塔婆小町)
狂い系 四番目物 巫女・女神物(巻絹、 鱗形、室君、現在七面など) 執心女物(梅枝、 砧、水無瀬など) 執心男物(恋松原、恋重荷、 阿漕、善知鳥、藤戸など) 狂女物(三井寺、 隅田川など) 男物狂物(高野物狂、芦刈、弱法師など) 芸尽物(花月、 自然居士など) 唐物(鶴亀、邯鄲(かんたん)、一角仙人、天鼓など) 人情物(鉢木(はちのき)、俊寛(しゅんかん)、景清など) 侍物(木曽、桜井、桜井駅、 小督、安宅など) 斬合物(夜討曽我、大仏供養、忠信など) 尉物(蟻通、雨月、木賊、豊干、輪蔵)
四・五番目物 霊験物(谷行、松山鏡、 藍染川、鷺など) 鬼女物(葵上、道成寺、黒塚など)
鬼系 五番目物 女菩薩物(当麻、海人など) 貴人物(絃上、 来殿、松山天狗など) 猛将物(草薙、碇潜、項羽、 船弁慶など) 天狗物(善界、車僧 、大会、 第六天、葛城天狗など) 鬼物(昭君、鍾馗、 野守、雷電など) 竜神物(愛宕空也、春日竜神) 畜類物(殺生石、鵺) 打合物(龍虎、舎利、飛雲) 鬼退治物(紅葉狩、羅生門、大江山、土蜘蛛など) 本祝言物(石橋、猩猩、大瓶猩猩)
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