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執筆者の写真石塚

「脳のなかの幽霊(V・S・ラマチャンドラン)」

更新日:2018年9月15日

AR(Augmented Reality)といえば… 何をおもい浮かべるか… ちょっと調べるとMicrosoftの「HoloLens」のイメージ映像なんかがでてくる。


www.microsoft.com


とってもビジュアルに凝っている。最初見ると驚くが、この映像はプレゼン用に作られている。ちょっと考えてみるととARの本質的なことって、見た目の凄さではないこと気づく。見た目にこだわるのはVR(Virtual Reality)で対応する方向性になっていくだろう。映画館がまずその役割を担うんじゃないだろうか。


ARのすごいところは、「視覚情報から得られた情報が、脳ではなく、インターネットを通じて膨大なデータベースと処理システムに接続されて、人間の行動に対してレコメンドを行う」というところにある。


日常生活において、目と脳だけで処理していたことが、リアルタイムの処理にコンピュータが入ってくるのだ。「ちょっと待って、いまスマホで調べるね」といって、スマホで調べてから行動することがあるが、この手間が無くなり、さらに処理が拡大されるとも言える。

ARが進化していけば、日常生活の情報処理そのものが変わる。


アーティストなんかは視覚から得られた情報を他の箇所と連携させて処理させることの訓練を受けているし、自覚的だったりするが、その感覚値がARによって拡張されるだろう。

これは、人生というか、生活、活動といった抽象度でのクオリア的な感覚を選択できるようになっていくと言える。フィクションの領域の強度を高められるという感じだ。同時に大事になるのは相対化だろう。


たとえばインターネットの検索エンジンの仕組みに鈍感だと、情報が狭められていると気づかないのと同様に、ARの場合も判断をやめてレコメンドシステムだけに頼ると、けっこう危なくなる。


それぞれの個人が選んだフィルターで世界を見るようになっていくし、しかもそのフィルターは他の人から確認できないであろうから、これまで以上に個々人の情報に対するリテラシーが大切になっていく。


V・S・ラマチャンドランらが著した「脳のなかの幽霊」という書籍がある。


取り上げられているトピックスは広範だ。幻肢、盲視、錯覚、サヴァンシンドローム、てんかん、笑い、そしてクオリアなど。


強固なものとして存在している時間や空間、そして自己やリアリティなどは、実は作られたものであると気付かせてくれる。




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